矢野顕子トリオ Live at Billboardlive Osaka

2015年8月25日にビルボード大阪で行われた矢野顕子さんのライブの記事です。

矢野さんのことって、ベース始めるまでは全然良く分かってなくて、『クリームシチューの人』くらいの認識だったんですよね。それが、2002年の『さとがえるコンサート』のライブをViewsicで観て、ものすごい表現力の大きさと、チャーミングな人柄に、ファンになったんです。

このライブを観たきっかけは、バンドメンバーに、アンソニー・ジャクソンというベーシストが参加していたから、彼の演奏を聴きたかったという理由だったんですけどね。
個人的には、この2002年の『さとがえるコンサート』のライブをDVD化してほしいんですよね。ベーシストとしては、『青い山脈』でのアンソニーのソロが強烈で。あのソロを観て、ベースの概念が変わりましたし。

とかいいながら、さとがえるコンサートのメンバーが、いつのまにかティン・パンのメンバーに変わってしまい、アンソニー・ジャクソン&クリフ・アーモンドのリズム隊を観たかった僕は、いつしか興味の対象から外れてしまっていたのですが、なんとなんと、今回は、『ウィル・リー&クリス・パーカー』というリズム隊でやってくるということで、是が非でも!!という気持ちで観に行ってきました。

ウィル・リーといえば、マイアミ大学が誇る、超天才売れっ子ベーシストで、海外の超大物アーティストから、いの一番にご指名がかかる、いわゆる”ファーストコール”ベーシストのうちの1人(アンソニー・ジャクソンもその1人)なんですよね。逸話があって、『とあるレコーディング現場で、ウィルに譜面を渡したら、譜面にサッと目を通したのち、音源も聴かずにレコーディングを始めてしまったそう。しかも、そのテイクはこれ以上ないもので、1テイクでOKを出してしまった。』という、通常では考えられないセンスの持ち主なんです。

今回のライブでは、ベースは、ブラックパールのサドゥスキー製のウィル・リーモデルの4弦ベースを使用。アンプはヘッド・キャビネット共に、ハートキー。ベースの他に、キーボードとコーラスも担当していました。

クリス・パーカーは・・・ごめんなさい。詳しくなくて。ベーシストなのに、ドラマーのこと知らないとか、ホント、酷いですよね。勉強しないと。
現在、先生につきながら、日本語を猛勉強中だそうで、MCもなるべく日本語で話そうとしていたのが、すごく好印象でした。
ヤマハのエンドーサーらしく、ドラムはヤマハ製だと思います。他にも、茶筒やケーキの型(丸い型)やミキサー(8か16トラック)も使用していて、矢野顕子曰く、『全てヤマハ製』らしいです(笑)

 

矢野顕子Live 2015aug 1

 

 

 

 

セットリスト

1.不明
2.不明
3.DAVID
4.BAMBOO MUSIC(DAVID SYLVIAN)
5.TIME(My Mother Has 4 Noses より)
6.やめるわけにはいかない(NHK新日本紀行)
7.YES-YES-YES(オフコース)
8.あたまがわるい
アンコール
9.GATHERING&MATCHES??(ブルースの曲??不明)

アンソニー&クリフ時代の演奏が好きだった僕からしたら、今回のこのメンバーでは、どのような演奏なのか、興味津々です。

サウンドは、アンソニー&クリフが、ローミッドが効いたパンチのある低音だったのに対し、ウィル&クリフは、カラッと明るい、軽めのハイファイなサウンドでした。それでも、出るところはしっかりと出ていて、ウィルのベースはとても軽い(ボディもチェンバー構造になっていたり、ナット部も通常のジャズベースの 38mmより細い36mmだったり)のに、出音はパンチのあるミッド(アンソニーのミッドよりは、若干上な感じ)を中心に上から下まで、レンジの広い音を出していたのは驚きというか、次元の違いのようなものを感じました。何よりも、パンチがあるのに、柔らかいんですよね。歌や曲に優しく絡むというか、クドくない。品の良い猫のような。
クリスのドラムも、スコーンと突き抜けるような壮快な響きのスネアに、シンバル、タムなど、(この表現が正しいかは分かりませんが)クリフに比べてドンシャリな音でした。

『DAVID』 では、歌に絡むように、伸びやかなベースラインにしたり、ハーモニクスやハーモニクスベンドの使用、フィルもコード感を感じさせるもので、とても、綺麗な音なんですね。また、『やめるわけにはいかない』では、ベースソロのコーナーがあるのですが、ウィルのソロは、元歌が分かるソロというか、(ソロ中は、 ウィル1人で演奏なのですが)分かるんですよね。今、どのあたりなのか。アンソニーの場合、ソロの瞬間に全くの別空間になるというか、完全にアンソニーがその空間を支配するのですが、ウィルの場合、曲の流れを崩さずに、その中でソロを展開するんですね。といっても、マーカスやボナとは違う感じで、個人的には、ウィリー・ウィークスに一番近い感じがしました。

バックにまわっている時でも、ソロに出ている時でも、本当にナチュラルなんですよ ね。なにかをしようとする時って、何かしらの違和感みたいなものがあると思うんです。際立たせるということは、普段と違うことをするわけですから、大なり小なり違和感は発生してしまうと思うのですが、ウィルの場合、それを聴き手に感じさせないレベルにまで馴染ませてしまうんです。だから、楽器を弾いてない人からすると、何も気づかない。楽器をある程度弾ける人からすると、『・・・あれ?さっき何かすごいことしなかった?』と、後から気付き、楽器を自分のものに出来ている人からすると、その場その場で、ウィルの凄技に反応できる。という、まぁある意味、自分のレベルを意図せずに測ってしまうことになってしまうプレイなのです。
すごいですね・・・ウィル・リー。

今回は、昨年から本格的に習得したというキーボードも演奏しており、シンセベースのパートは、エフェクターではなく、キーボードを使用していました。また、他のメンバーが譜面を用意してる中、ウィルは、用意をしておらず・・・と思いきや、全ての譜面をipadの中に入れて持ってきていました!
もう60歳近くになるというのに、新しいものも受け入れられる脳の若さ・・・流石です。

このトリオでの演奏は、すごくリラックスして観られる良いメンバーですね。
アンソニー&クリフの場合、(もちろんみんな超一流なのですが)どこか『アンソニー先生』みたいな感じがあって、若干の緊張感みたいなものが感じられたのですが、今回のメンバーはそれがなく、和気あいあいとしているというか、10年以上活動しているだけある連帯感のようなものが感じられました。

やっぱり、ウィル・リーは凄いですよ。今もこれ書きながら、彼のCDを聴いているのですが、スタジオアルバムでは、凄さが感じられるのに、生で聴くと全然分からない。まるで、『ドラゴンボールZ 神と神』で、悟空が破壊神ビルスの気を感じられなかったようなもんです。せめて、何をしていたかぐらいは、分かるようになりたいですね。

ただ、『ウィル・リー好みか?』と聞かれると、好みじゃないんですよねー。好きなんですけどね。やっぱり、理想のベーシストは、ネイザン・イーストなのでね。

最後に矢野顕子について書きますが、彼女のセンスは、抜群ですね。
作詞・作曲は当然ながら、アレンジメントのセンスが素晴らしい。他人の曲をカバーしても、完全に自分のものにしてしまうほど。ポップスで、カバー曲って結構あるけど、なかなか原曲のイメージを抜けきれないものの方が、多いんですよね。チョコチョコっとリズムトラックをイジって、シンセ足して、「カバーで す!!!」みたいなのが。
それが悪いわけではないんですけど、やっぱり原曲を上回ることが出来ないんですよね。でも、矢野顕子の場合、完全の矢野顕子の世界に変えてしまっているから、原曲と比較云々という話ではないんですよね。でも、原曲へのリスペクトはしっかりとある。世界の超一流と一緒にやっているだけありますね。

『お前みたいなエセ評論家が何を言うか!』と怒られそうですが・・・

とにかく、楽しいライブでした。また、観に行きたいですね。

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